Day 4 〔1〕 京都山道のんびりツアー
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京都をバイクで走れる至極の時が到来。
■近江長浜会議
さて翌朝。
我々4人は飲み過ぎでさっぱり起きられない。
やっと目が覚めたらすっかり昼近くになっていたのでオレはびっくりしてまた寝てしまった。
それでもいい加減暑くなってきて、ガマンできずに仕方なくテントを出る。

今日は一体なにをすればいいんだ。

良い天気だしどこかへ出かけてみたいけれど、
そうするとこの場を撤収しなくてはならない。
撤収は荷物まとめてテントたたんでバイクに縛り付けるのだが、それがかなりめんどくさい。
それに撤収しても、今日のうちにどこかでまたもう一度テント張るなんて更にめんどうだ。
だがここで眠るのにも もうすっかり飽きた。どっちにしたらいいんだ。
これは由々しき問題だ。

そういうことを考えながらだらだらしていると、1時間や2時間なんて
あっという間にすぎてしまうのである。
このことについて終わりのない会議を4人で繰り返していた。

オレとしては、ここにテントを張ったまま、京都の山道を走ってみたいのだが、あんちゃんは
ここでキャンプを張るのに飽き飽きしたという(そのくせ撤収するのも やはりめんどくさいとい
うのだ。オレとあんちゃんには一生結論出せない)。

うだうだしながら朝メシ兼昼メシを食った。ホセさんがどこかでもらってきたという米軍の非常
食があったので食べてみることにしたのだが、食べ方が今一歩よくわからなかった。見たとこ
ろあたためるだけでよさそうなのだが、それにしても袋が妙にでかいのである。パッケージには
「ビーフシチュー」と書いてある。
「いーんだよいーんだよ、かまわずこのまま全部あっためちゃえばいーんだよ」
朝から妙にハイテンションなホセさんはそう言って笑った。
あんちゃんは
「これは袋をあけてからあっためるんじゃないのか?」
といいながら、袋の感触を確かめていた。さわってみると、ビーフシチューのような気もするの
だが、少しごつごつした感触のものが含まれている気がしないでもないのだ。めんどくさくなっ
てきたので、なんだかわからないがとにかくあたためてみた。ところが中をあけてみたら、シチュ
ー以外のものが山のように出てきたので笑ってしまった。バンドエイドとか綿棒とか、チョコレー
トまで入っている。さすがは非常食だと関心したが、ずいぶん変なモノをあっためてしまったも
のだ。

メシを食ってしばらくすると、ホセさんとタカミツは、驚くべきことに和歌山まで走りたいと言い
出した。しかも和歌山の果ての果て、本州最南端の潮岬(しおのみさき)に行きたいというの
である。これは何と無謀な提案であろうか。

もう既にお昼になろうっていうのに、これから300キロ以上を走って潮岬まで行くだけでもすご
く大変なのだ(行ったら絶対夕方になっちゃうし)。
それにタカミツは明日には東京まで帰らなくてはならな
いのである。合計で一体何キロ走れば東京まで着くと
いうのだ。

そういう無謀且つくたびれる提案というのは即却下なのである(特にオレとあんちゃんは)。
でも行きたい気持ちは止められなかった。というわけで、行きたい人にはとことん
行ってもらおうってことで、あんちゃんとオレは残ることにした。

「無茶できる時にはしておいた方がいいのだ。行きたい時は行くがいいのだ」
あんちゃんは珍しくクールに言うのであった。でもまあそうだな、行きたいんだもんな。
あんちゃんにしてもその昔は日本一周を達成したわけだし、そんな時代には数々と無茶してる
はずでしょう。オレにもそういうのは理解できる。
というわけで、ここから先は二手に分かれて別行動することにした。

それにしても、ホセさんもタカミツも、長距離走るの得意だなあ。
■生まれて初めてバイクで京都市街に乱入
名神高速に乗って、米原インターまで4台で走った。チーム文句、まとまって走る機会が最近
少ないので、こういう状況は殊の外楽しい。良い天気だ。5月らしくからりとした爽やかな空気で、
空も良い具合に青だ。

途中のジャンクションで、走りながらのお別れとなった。
「明日の午後、浜松あたりで待ってるから、絶対追いついて来いよ」


このままあんちゃんと2人きりで東京に帰るのは寂しかったのでタカミツにはそう言ってある。
(でも本当に戻ってこられるんだろうか?潮岬経由の東京、合計900キロ超、 オレには無理
だなあ)

あんちゃんとオレは大津インターで降り、比叡山ドライブウェイに向かった。この道は非常に
高いところまで一気に上れる有料道路で、景色も素晴らしい。しかし何故か、祝祭日は二輪
車は比叡山頂の展望台までしか行けず、そこから先の奥比叡ドライブウェイは通行禁止、
ということになっている。延暦寺にさえ行けないのである。山頂付近からの鳥瞰図のような
琵琶湖のグレイトな景観を眺めた後で、元来た道を何故か戻らなくてはならないやるせな
さったら無いのである。



「ふざっけんなよー、往復するだけで金取るってどういう了見なんだ!」
あんちゃんの文句炸裂。でもほんとにそうだ。あっち側まで行かせろってんだ。

さて比叡山から降りてきて、その後どうやって帰るかを考えたのだが、このまま京都市街を
経由して大原を廻り、その後で琵琶湖大橋を渡って帰るコースがあるではないか、そうでは
ないか、と気がついた。

下鴨大津線で北白川まで降りて、並木の綺麗な白川通りを走った。京都の街をバイクで走
れて、なんだか妙に嬉しいのである。このウキウキする感じは一体なんなのだ。

しかしそれにしても腹が減った。ここまで来たのだから、何か京都のうまいものが食ってみた
いじゃないか、そうじゃないか、ということになった。だけど俺たちに思いつくものなんて「お好
み焼き」くらいしかないのであった(もともとメニュー考えるのは大の苦手課題!)。

ところで、お好み焼きやはどこにあるだろうか。店の場所を調べるのが面倒なオレ達は、昨日
の夜一緒に遊んだともに電話をかけて、お好み焼き屋のある場所を聞いてみることにした。。
「もしもし、とも?あのさぁ、この辺でお好み焼きのうまい店はどこにあるの〜?そういえば昔一
緒にお好み焼き食べた店あったでしょ?あれはどこにあるの?」
「え〜?あそこまで行くの?今白川通りやろ?そこからやったらめっちゃ遠いで」
その店は西大路通りの方にあるらしい。このくそ暑い中遠くまで走るのはまっぴらごめんである。
それに街中に入ってきたら急激に道が混んできたのが二人にはとてつもなく辛かったのである。
というわけで我々二人は、近くにお好み焼き屋がないかどうかを目の前にあった洋服屋のおば
ちゃんに聞いて、目の前にお好み焼き屋があることを発見したのだった。そしてものすごく安易
にそこに決めてしまったのである。

お好み焼きを食ったら猛烈に疲れてきた(まだ80キロくらいしか走ってないのに)。
「やっぱりオレ達は潮岬なんて行けないねー、ハッハッハ!」
あんちゃんはタバコを吸いながら笑うのであった。
「あんちゃん、オレはもう眠いよ、帰るのイヤです。タスケテクダサイ」
オレは答えた。それにしても、このやる気のなさは一体なんなんだろうか?あんちゃんとオレで
行動すると、いつもこんな具合に具合になってしまうのだ。ツーリングなのに、ちっとも走ろうと
しない。走ろうとしないで文句ばかり言っている。

ホセさんの鍋はステキだ。


朝の寝袋干し。琵琶湖が綺麗だ。
比叡山ドライブウェイ。
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暖められた品々。ホセさんは気にせず大笑い。
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