■7月25日(3)  フロ入ってけ

午後になり、キャンプ場に戻って暫しダラダラした後、昼メシを食べにヤマサ食堂へ行くことにした。
フェリーで会ったオーニタがやっている店である。

ヤマサ食堂はフェリーターミナルのすぐ近くにある。 
食堂以外にも、レンタルバイクとレンタル自転車も扱っている (しかしオーニタの本職はあくまでも“漁師”である)。

小さな店の暖簾をくぐると、店内には客が一人もいなかった。
肝心のオーニタも見あたらない。無人店舗状態である。
開けっ放しで留守にしてしまうところがなんともこの島流で大らかだ。
仕方がないので勝手に席に座って待つことにした。

10分くらいするとオーニタが店に戻ってきた。
 「よお。おめえやっぱり前に来たことあるよな?なんか覚えてんだよ」

店に入ってくるなりオーニタはあんちゃんに向かってそう言い放った。
いらっしゃいなんて間違っても言わないのだ。改めて見ると、オーニタはやはり大きかった。
体中が日焼けして黒く、太い腕とがっちりした体、そして声がやたらと大きい。
 「ところでおめえら何食うんだよ?」
 「あ、それじゃあ“うにぎり”をお願いします」
 「おー、うにぎりな、わかったよ」

オーニタは我々にそう返事をした。
“うにぎり”というのはこの店の名物で、おにぎりの上にウニが載っているというだけの、極めてわかりやすい食べ物。
おにぎりっていうよりも、軍艦巻きの寿司を大きくして、その上にウニを載せたような感じである。
うにぎり3つで1500円。そんなに安いものではないが、まあ仕方ない。

うにぎりを食っていたらオーニタが、
 「おめえらフロ入ってくか?まあフロって言ったってオレの家のフロだけどよ、シャワーでよければ使っていっていいぞ」
そう言った。
実はこの島にはフロ屋というものが無い。
だからなのかどうかは知らないが、オーニタはフロに入れと薦めるのだ。
4年前あんちゃんがここへ来たときにも、オーニタに薦められてフロに入ったそうだ。
海から上がった後ということもあり、こういう配慮は実にありがたい。
というわけで、遠慮せずに入れてさせてもらうことにした。
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