■青森へ
今年は恐るべきことにお盆真っただ中の北海道となってしまった。
しかも更に恐るべきは、フェリーの予約がまったく取れていないことで
あった。
こんなことは初めてだ。
でもまあ仕方ないのだ。今年はあんちゃんもオレも、お盆時期にしか
休みを取れなかったのだ。予約を持っていない人は、青森までひたす
ら走って、そこでフェリーのキャンセルが出るのを待つしかない。

実を言えば、今回の旅には道連れがもう一人いた。エンドウさんだ。
エンドウさんは、あんちゃんがその昔日本一周をしているときに出会っ
た人で、2年前のゴールデンウィークにはオレも一緒にツーリングに
行ったことがある。でも今回のエンドウさんは、青森まで着いたところ
で予定を急遽変更して帰ってしまったのだ。どうやらあまりの雨の激
しさと、自分の休みのあまりの短さにびっくりしてしまったらしい。最近
はオレとあんちゃんだけの二人旅が実に多いのだが、エンドウさんが
途中で帰ってしまったので、今回も基本的には二人旅なのである。

出足は快調だった。前日の夜にあんちゃんの家へ集合していたので、
なんと午前7時には出発していた。朝が苦手な我々にとってこれは
快挙だ。東北道はひたすらに暑かった。長い距離を走るのが苦手な
我々チーム文句にとって、この暑さは更に追い打ちをかけるようなき
つさであった。浦和から青森まで720キロ。できるだけ一気に走って
距離を縮めたいところなのだが、そうはさせてくれない事情が実は存
在した。あんちゃんのバイクの燃費が悪すぎて、200キロに一回は
確実に給油が必要だったのだ。リッターあたり8〜9キロしか走れな
い。
「これじゃあ車でツーリングしてるようなもんだー!ハッハッハ!」
高らかに笑うあんちゃんであるが、時間的にも金銭的にも辛いのが
実状である。

盛岡を過ぎた頃から空がにわかに真っ暗になってきて、やがて大粒
の雨が降り始めた。これはついていない。
青森を目の前にして雨はますます激しくなり、レインウェアを着ていて
も、風圧で水が中まで染み込んでくる。青森まで720キロ、そのうちわ
ずか80キロの距離で、我々はずぶ濡れになり、体力も気力もガクンと
落ちてしまった。
そしてここで、この先我々の旅で大いに障壁となるトラブルが発生し始
める。あんちゃんのバイクのエンジンが、突如として止まってしまう現象
である。
青森インターを降りた後にこの症状は始まった。ほんの数十メートル走
るだけで、エンジンがいちいち止まってしまい、実に困った。どうにかバ
イクをだましながらフェリー乗り場に到着。とにかくこのまま函館へ渡っ
てしまおう。そして函館で修理をしよう。そういうことにした。

フェリーターミナルは、キャンセル待ちのフェリー難民で溢れかえって
いた。この時からキャンセル待ちとの長い戦いが始まった。フェリーに
乗れたのはそれから12時間後のことである。



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2002 北海道ツーリング  -2-
函館フェリーターミナルのラーメン屋。夜でもやっている店はここ
しかない。
函館フェリーターミナル到着。相変わらずのどしゃぶり。
調子が悪い!これが苦しみの始まりでした。
余裕で一服してるようにも見えますが、実はカッパの中まで
びしょ濡れです。
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