続:うどんとハマキとタイランド  2002浜松ツーリング

夜はますます盛り上がるのだ(下の写真は昼間だけどね)。
この鍋はホントにうまいよ。ビールもウマイ。
鍋は既に2開戦へと突入。
「ウィラード大尉はさぁ、いつも一人でどこまで走ってるわけ?」
酒と鍋の間隙をついて、あんちゃんと大尉のコミュニケーションがそろりそろ
りと始まっている。
「うん、そーね、オレの場合はね、早起きしてグワーっと走るわけ。それで一気に
 静岡の海とかまで行くんだよ。着いたらタバコ一服して、それでまたグワーっと
 帰ってきたりしてさ」
「げー!それじゃあ殆ど何もしないでひたすら走ってんの?すげー!」
あんちゃんは実に楽しそうに驚いた。実際のところウィラード大尉は実に爆走派
である。ひたすらに走りまくることができる。オレとあんちゃんみたいなダメ人間
派閥の人間からすると想像を絶するような強行軍でもへっちゃらなのである。し
かしオレには無理だな。オサケ、焚き火、温かい寝袋、こういうものが無いと、走
りの原動力は生まれてこないのだ。オレの場合は。

あんちゃんと大尉はどうやらアジアンな話題で妙に共鳴してしまったらしく、その
後ひとしきりタイランドネタがつづいた。お互いに放浪癖があるようで、「あそこの
路地を曲がった○○っていう通りに△△っていう店がなかった?」「ウギャー!ど
うしてそんな店のことを知っているのだ!もしかして我々は同じ道を歩んできたの
か!?」などと、オレとセンセーには分からない話題で確実に盛り上がっており、
東京に帰ったら絶対に飲みに行こうなどと約束を交わしたりするのであった。

ひとしきり鍋が終わったので、次はうどん。
カトキチの冷凍讃岐うどん。冷凍とは言えこれが実にうまいのである。
こんなにうまいものの存在を知らなかったとは、今まで実に損をしていた気がす
る。そしてうどんを食いながら、この日の話題はセンセーの方へと移ってきた。
教職員の夏休みが以前に比べて短くなってきたことについては既に書いたが、
更に突っ込んで、先生という職業の実態について3人で鋭く切り込んでいった。

「センセーが先生について語るってのも変な話だよね。それはそうと 先生って
仕事は大変だけど、でも自由になる時間は結構あるよ」
センセーが先生について語る。
「しかしどんなに自由時間が多くても、毎日中学生の相手をするなんてオレに
 は絶対できないね!頭おかしくなっちゃいそう!」
オレは言った。
「オレもだなあ。それができるんだから、センセーはやっぱり偉いよ」
あんちゃんは言った。
「でも自分ではそんなに大変だと思ってないんだけどなぁ」
センセーは言うのであった。
仕事のオモシロサとか大変さとか給料とか休みの多さとかなんだかんだとか
そういう話が更につづいたが、どのみち酔っぱらっていたので詳しいことなん
て覚えていない。

するとやがて、ウィラード大尉がおもむろに「あれ」を取り出したのだ。
ハマキである。
「げ!葉巻だハマキ!すげ〜、なんかすげ〜!」
あんちゃんはマジで驚いた。
ハマキは大尉の以前からの趣味なのである。
「あんちゃんさぁ、ハマキはいいよ〜、オレはこういう特別で大切な時間を過ご
 す時には、必ずハマキを準備しておいて、こうしてゆっくりと味わうことにして
 いるんだよ、うん。ハマキってのはさ、時間をゆっくりと味わえる超贅沢品な
 んだよね、うんうん。」

まあ正直に言えば、オレとあんちゃんはハマキに対して最初ヤヤ引き気味であっ
たわけなのだけれど、このあとで大尉からハマキをもらってふかしてみたところ、
これが実に美味で、ちょっとぶっとんじゃったわけなのだ。
「ウマイ!」
なのだ。これには少し驚いた。
食わず嫌いだった自分を反省つつ、良いものを教わったことに感謝した。
ハマキっていうのは、タバコに比べて吸い口が少々「きつい」ものだから、吸い込
まずにふかすだけだと思っていたが、大尉にもらったハマキは かなりマイルド
で、タバコと同じように吸うことができ、そしてそれは実に豊かな味わいだった。
ウィスキーを舐めながらハマキをふかしていると、妙なもので、普通のタバコが
吸いたくなってきてしまう。食後の一服ではないのだが、うまいものを味わったか
ら、自然とタバコが吸いたくなったのだろうか。しかしこれはものすごく不可思議
な話じゃないか。
「ビールがうまいから更にビールを飲んでしまう」
「かわいい彼女ができたからもう一人彼女をつくる」
というようなこととはまた全然話が違う。
でも事実タバコが吸いたくなったのだから仕方ない(実際に吸ったし)。
しかしハマキを吸ったあとでは普通のタバコなんて足下にも及ばなかった。
これはちょっと別格のものなんだろう。しかしハマキとタバコはそれぞれ違うカテ
ゴリーに属しているのだ。いくら山崎の12年物がうまいからといって、缶チュー
ハイ飲むのをやめてしまうかというと、そうではないよね。
そういう違いなのだろう。

狭い6畳の部屋はハマキとタバコの煙で充満されていたが、適度に換気を行っ
ており、息が苦しくなるようなくとはなかった。先生が持ってきてくれたストーブの
おかげで、ちっとも寒くない。
いつのまにかウィラード大尉は寝袋に体を突っ込んで、これはもう世にも幸せそ
うなニコニコ顔で「うおー、これいーよ、うん、シアワセだよ、うん、いーよ確実にい
ーよ」などと言いながらフライング気味に寝てしまい、残りの宴会は3人で進行し
ていった。
                                        (つづく)



異様に幸せそうな人。
センセイもたくさん飲んだ。夜は長いのだ。
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この人も異様にシアワセそう。
※宴会の写真が妙に少ないのは、酔っぱらっ
 てるからなのだ。飲んでるのに写真なんて
 撮ってられっか!
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