■遠藤さん チーム文句にデビュー
我々がバイクを停めた川沿いには銭湯があった。
夕方のまだ明るいうちから風呂に入るというのもいいではないか、そして
明るいうちから風呂上がりのビールを飲んでしまおうではないか、ということ
になった。銭湯はガラガラに空いており、なかなか気持ちが良かった。
風呂上がりは更に良かった。
外へ出ると、午後の日差しはまだ高く、目の前の川と桜の花、
川沿いに連なる柳の枝、そして行き過ぎる大勢の観光客・・・
それを眺めながら、4人でのんびりと風に吹かれていた。
いいね〜。
その後買い物をしてキャンプ場へ向かった。
その日のテント設営場所は、キャンプ場というよりは、
「本名スキー場、夏はちょっとだけキャンプ場」
というような場所であった。
ゲレンデの一番下の辺りに勝手にテント張っていいよ、という具合。
他の客は殆どいない。いや、いることはいるが、それは遙か彼方なので、
酒飲んで大声で騒いでもクレームになる心配はなさそうだ。
あんちゃんと遠藤さんは、
ゲレンデの隅っこにある東屋(あずまや)の下にテントを張っていた。
オレとタカミツも早速近くにテントを張り、宴会をはじめることにした。
その晩は遠藤さんが料理をしてくれた。
料理といっても、野菜の入った簡単なコンソメスープ程度なのだが、
無精集団(武装集団ではない)チーム文句はいつも料理なんてしないので、
暖かいものを食べられるというのは、なにより貴重なことなのだ。
それにしても、誰一人遠藤さんの料理を手伝おうとしないというのは、
一体どういうことなんだろうか。
うまいモノは食べたいくせに、それでいて他人の手伝いは絶対しない。
チーム文句、なんというナマケモノ集団なんだ。
「おいマサ!オマエもちょっとは料理手伝えよ!」
遠藤さんが逆上気味であんちゃんに文句を言う。
「いやいや!遠藤さんは料理するの好きでしょう?だからさ、ヘタに手伝って
もし失敗なんてしちゃったらさ、遠藤さんに迷惑かけちゃうと思ったんだよね。
これでもオレなりに気をつかっているんだぜ!わかってくれるかなぁ?遠藤さん!」
あんちゃんが何故か嬉しそうな顔で遠藤さんに絡んでいく。
「ふざけんなよな〜マサ、そんなこと言ってるけど、ホントは手伝うのがめんど
くさいだけなんだろ!結局料理してんのオレだけじゃねえかよ〜」
遠藤さんは文句ぶーぶーである。しかしあんちゃんは、酔ってしまりのない顔で
「ニヤ〜ッ」
と笑っている。
遠藤さんはあんちゃんが日本一周中にどこかで知り合った人で、
オレとタカミツは今日はじめて会ったのだが、
酒を飲ませるとなかなかオモシロイ人物だった。
どうオモシロイかというと「ヒガミのエンドー」になってしまうのだ。
「またオレがやるのかよ〜」
「なんでオレより先に食っちまうんだよ〜」
「また女の話かよ〜、オレにも紹介してくれよ〜」
遠藤さん場合は「文句」というより「ヒガミ」と言った方がぴったりくる。
しかし聞いていて不快な類(たぐい)のセリフにならないのがいい。
どうもこの「遠藤流ヒガミ」を聞いていると、
オカシサがこみ上げてきて、笑っちゃいけないのにどうしても笑えてしまう。
なるほど、遠藤さんは昼間冷静な顔をしているくせに、頭のなかは
ヒガヒガ
ヒガヒガ
ヒガヒガ
とヒガミが渦巻いていたんだな、と思って聞いていると、
どうも口元が緩んできてしまう。
今回は、なかなかオモシロイメンバーが加わったものである。
チーム文句の旅2000 〜春の琵琶湖に大集合の巻〜 -4-
ゲレンデのキャンプ場。東屋からの眺め。
遠藤さんと愛車。