■琵琶湖のほとりで星も輝くスバラシイ夜

ようやく宴会が始まった。
この日の食事は完全に手抜きメニューである。
鳥の唐揚げ、漬け物、ウィンナー、ポテトサラダ、うるめいわし、
ここへ更にモトコのマーボー豆腐が加わるのであるが、
それにしても内容的に充実しているとは言い難い。
だが、今日はこの景色が最高なので許せてしまうのだ!
琵琶湖のすぐ真横に陣取っているので、なんとも爽やかである。
遠くに見える町の灯や車の灯りも見事である。
少し風は強いが、この風もまた心地よかった。

 「今日はサイコーですね!サイコー!」
 あんちゃんは叫んだ。
 「こういう場所だと酒もうまいよね〜」
 遠藤さんは言った。
確かにその通りだ。
ここで飲む酒はうますぎる。
それにサイコーなのは景色だけではなかった。
実はみんな、モトコが3年ぶりでツーリングに参加できたことを
心の中ではとても喜んでいたのだ。
いじめているように見えても、
実はチーム文句流に手荒な歓迎をしているのである。
(本人には決してわからないでしょうなぁ)
もしここに少年とセンセーがいたならば、
チーム文句草創期のメンバーが勢揃い!ということになったのだが、
残念ながら二人とも今回は参加できなかった。

今日のあんちゃんは、相当にご機嫌であった。
 「いや〜、いいですねぇ今日は!
  実にいいですよぉ〜!」
などと、終始ヨロコビの叫びを上げている。
そしてこの日もまた、
既に我々のテーマ曲と化してしまったaikoの曲が流れていた。
オレはこの歌が完全に気に入ってしまった。

  「春が来ると この河辺は
   桜が精一杯 咲き乱れるんだ」
   貴方は言う
   私はうなずく
   右手をつないで 優しくつないで 
   真っ直ぐ前を見て
   どんな困難だって 
   大したこと無いって 言えるように
   ゆっくり ゆっくり
   時間を超えて また違う
   幸せなキスをするのが
   貴方で あるように

夜が更けるにつれ、風は涼しさを増していった。
しかしこの涼しさが、桜の咲く頃を連想させる。
桜の頃、春になりたての季節はきまぐれで、
冷たい雨を降らせたり、肌寒い風を吹かせたりする。
しかしそんな時期だからこそ、
季節の微妙な色合いというものが実感できる。
琵琶湖のほとりで感じるこの風には、
まだ完全に春になりきっていない その微妙さが残っていた。
桜の歌が妙に浸みるのは、そのせいなのだろうか。

aikoの歌声が、湖に向かって消えていく。
周りには誰もいない、独占状態のこの水辺。
ぱっかーん!と広がった空と湖、
そして少し冷たいこの風・風・風。
こんなに気分の良い酒を飲むことは、そうそう無いだろうな、
そしてオレはこの時のことを、この先何度でも思い出すんだろうな、
そう思っていた。
そう思いながら、ますます酔いが回っていった。

ビールがうまい。日本酒がうまい。
そしてこの空気がうまいのだ。
間違いなく、今回の旅のハイライトは
今この瞬間なのだ!
噛みしめながら時を過ごした。

あんちゃんは笑っていた。
タカミツはガキ酒に酔っていた。
モトコは相変わらずニコニコだった。
遠藤さんは意味もなく叫んでいた。
そしてオレは、ゴキゲンで寝転がっていた。

いつまでもこの時間がつづけばいいと思いながら、
オレはいつしか琵琶湖のほとりでうとうとと居眠りを始めていた。
(おわり)



end
チーム文句の旅2000  〜春の琵琶湖に大集合の巻〜   -12- (完)
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