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Day 2 〔3〕 そして酒宴は始まったのだ
4人が勢揃いした琵琶湖の畔は にわかに騒々しく、そして暑苦しくなってしまった。琵琶湖周遊からご機嫌宴会までの詳細顛末。
■琵琶湖沿いを走る
琵琶湖沿いは最高に気持ちの良い道だった。左手は琵琶湖、右手は山、ワインディングロードが
続く。荷物を全部テントの中に置いてきたので、空荷のバイクは実に軽快に走る。
せっかく時間があるので、前から一度やってみたかった
コーナリング中の写真を撮ることにした。見通しの効く
やや大きめのコーナーでカメラを構え、走ってくるバイク
を置きピンで待ち伏せする。
別段難しいことじゃないけど、これは時間的に余裕のある
ときじゃないとできないものである(停まるのがめんどくさい
から)。あんちゃんがコーナリングしているところををオレが
一眼レフで撮影。かなり良いアングルがつくれるので、
オレも楽しい。
■ようやく勢揃い
引き続き琵琶湖周遊道路を走った。木々の上から強い日差しが照りつけて、
新緑の色が更に濃く見える。快適である。
苦笑いで帰還のあんちゃん。
右のウィンカーが割れているが、写真だと判別つかない程度の軽傷。
■あんちゃん、まさかの転倒
かなり調子が出てきて、行ったり来たりで3往復くらい撮っていたら、
しばらくあんちゃんが帰ってこない。5分くらいすると、ニヤニヤ笑い
ながらスローペースで戻ってきた。
「いやー、Uターンで立ちゴケだぁ」
やってしまいました。
いつもバイクひっくり返すのはオレの役目なのに、今回は珍しくあん
ちゃんがやってしまった。狭い道だったのでUターンするのも大変だっ
たらしく、バランス崩して敢え無くグシャリ (現場写真を撮れなかった
のが誠に無念)。しかし倒れたとは言えウィンカーが割れたくらいで済
んだので良かった。
寂しがりなのである。一人でほっとくと死んでしまう
のである(そんなこともないけど)。
早く帰って安心させてあげよう。
キャンプ地に戻って、ホセさんとタカミツを待った。
まず、ホセさんが到着。
1年半振りの再開。
このホセさんという人について説明しておく。
とにかくこの人、ナイスキャラなのである。
本人は別段面白い話をしようなんて計算していないのだが、何を話していても不思議なおかしさがこみ
上げてくるのだ。
発想法は極めて直球的。直感的。
あまりにもピュア過ぎる子供のような感性。身長180センチの小学生みたいだ。
そして更に、茨城の親しみやすい言葉と高いイントネーションがまた笑いを誘うのである。でも、あんまり
笑いすぎると「どうしてみんな笑うんだよ、バカにしてるのか?プン」とか言ってすねるので、ますますオカシイ。
だけど極めて優しい人でもある。人をもてなすのが大好きで、いつもいろんな料理をつくってくれるのだ。
不精者のオレとあんちゃんはキャンプに来るとホントになんにもしないので、ホセさんが居てくれると猛烈に
助かるのである。
もともとは あんちゃんが日本一周している時に旅先で会った人。ちなみにホセさんっていう名前は「ほそや」
が訛って「ホセヤ」に聞こえるから。本人が自分の名前を言うと「ホセ」にしか聞こえない。
暫くするとタカミツも到着した。
さ、フロでも入ろうか。
■ホセおでん
今夜はなんと おでんをつくるのである。
ホセさん持参の巨大鍋(こんなものツーリングに持ってくる人はいないよ)が
あるので、これでもってぐつぐつ煮込んでしまおうっていう魂胆。
ホセさんがいてくれるとホントに助かる。料理だけでなく、オサケもしこたま持参で
来てくれる。焼酎と日本酒が、なんと一升ずつあるのだ。
「しあわせだよ〜」
あんちゃんは叫ぶのだった。オサケさえあれば、我々はいつだって幸せなのだ。
「この焼酎は うまいべうまいべ?な、な?」
ホセさんは紙パック入りの焼酎を片手に高らかに笑うのである。
「う〜ん、紙パックの出汁が効いててなかなかイケルよ」
誉めてるのか文句言ってるのかよくわからないオレの返事。
「あ〜いいよ、文句言うんだったらもうオサケ飲ませないもんねー」
今回のホセさんは終始だだっ子モードだ。拗ねるのが得意技と見た。
次々と繰り出されるホセ料理とホセ酒で、琵琶湖2日目の夜は更けていくのだった。
走ったり写真を撮ったり、だらだら遊んでいるうちにもう午後3時。
こんな時間になってから琵琶湖一周する気力は無い。オレ達にはそんなのできない相談である。
道があまりにも気持ち良かったので調子に乗ってビュンビュン飛ばしてしまい、おげですっかり
お疲れモードだ(早すぎるなぁ)。結局琵琶湖1周の15%くらいしか走っていない。
それでも我々はオウチに帰る。
走っている間に、ホセさんが何度も呼んでくる。
「お〜い、オマエらどこに居るんだよ〜」
でもこっちは走っているから出られない。しつこく留守電に入れてくる。