■7月26日(2)  寒流攻防戦

稚内のホームセンターで買った500円のゴーグルをつけて潜っていたが、残念ながらこれではよく見えない。
左右の眼鏡の方向が微妙にずれてしまうので、なかなか焦点がぴたりと合ってくれないのだ。

そこへいくとあんちゃんの装備はさすがである。シュノーケルの付いた大型の水中眼鏡を持っている。
(ツーリングでこんなもの持ってる奴は他にいない!)
しかし借りてみると、これがすごいのだ。見え方が断然違う。

大きなレンズ越しに見る水中の風景は実にダイナミックな広がり感で、
オレのゴーグルで感じたようなストレスは皆無。
シュノーケルのおかげで水に顔をつけたまま連続して泳げるのも実に便利だ。
焼尻島の海は透明度がものすごく高くて、20メートルくらい向こうまで見通すことができる。
何もかも見えすぎてしまって、何やら怖い感じさえする。

海の中では海水パンツ一丁の無防備さである。
だから大きなものが見えたりすると異様な恐怖感を覚える。
たとえそれが生き物ではなくて大きな岩だったとしても、その存在感が無性に恐ろしかったりする。
人間の無力さを実感してしまう瞬間。

崖沿いに泳いで沖の方へ向かうと、いきなり水温が3〜4度低くなる境界線がある。
そこを越えると猛烈に冷たい水にぶつかるので、水の中で
「うぐぐぐぐぅ」
と叫びにならない声をあげながら、大慌てで引き返すことになる。
境界線の中へ戻ると、水はまた暖かくなる。この差がものすごく激しい。
静かな海に見えるが、すぐそこには寒流の激しい流れが渦巻いているのだろう。
20分も泳いでいると、またしても寒さで限界になってしまう。
今日も焚き火だ。
BACK | NEXT
INDEX



NEXT
(左)    浅瀬でサンダルを履いたまま歩く。透明度が高い。
(右上) 漁協の人が揚げる旗。その日に何を採るかによって
     旗の色が変わるらしい。漁の時間が終わると、丘の
     上から笛を吹いて船に知らせる。
(右下) 漁師の人にわけてもらったウニでウニ丼をつくった。
     しかしゴハンがおこげになってしまい、大失敗。
     ウニみたいな繊細な味の食品に、おこげは禁物だ。
     手前がムラサキウニ、奥の濃い黄色がバフンウニ。