■9月3日 撤収はスローに
5時半起床。なんて早起きなんだろう。
でも、起きたあとはずっとダラダラ。
隣のテントのライダーさんとおしゃべり。
この人は、夕べ遅くに到着して、
一人で焼きそば食べながらチューハイ飲んでた人だ。
実はこの人こそ、
その後現在に至るまで長い付き合いになる我が悪友
「エノピー」なのである。
遠目で見ていて自分と同じ「におい」がする人間だったので、
なんとなくつられておしゃべりしてしまったのである。
ま、そういうこともあるよね。
ものすごくダラダラと撤収を済ませたら、
エノピーはオレと同時くらいに片付けはじめたのに、
まだ全然出発できる様子がなかった。
オレより撤収遅い人間って居るんだな。
野付半島をダラダラと観光していたら、
いつの間にかエノピーが追いついてきた。
でもまだそんなに親しくないので、適当に距離を置いている。
離れたところから観察していると、行動が面白い。
地図を見たまま動かない。全然動かない。
「ああ、行く先が決まらないんだな」と思った。
オレにもそういう時ってあるから、わかってしまうのだ。
でも、オレがメシ食ってトイレ行って帰ってきても、
エノピーは依然として全く同じ姿勢のままだった。
30分以上地図を見たままフリーズだ。
この人、オレ以上の“ツワモノ”かもしれないな。
野付(のつけ)半島とは、不思議なところだ。
半島の形も成り立ちも不思議だが、
立ち枯れした木が名物というのも奇妙である。
海水に侵食されて木が枯れてしまうのだ。
この景色を見ると、なぜだか “されこうべ”を連想してしまう。
上空から見た野付半島。こんなに細長い土地が
流されもせずに残っているのが実に不思議。
知らない人には、是非地図で見ていただきたい。
キャンパーのおじさんと話しこむエノピー。このまったり感こそエノピーの真骨頂。
そんなエノピーを置き去りにしてオレは出発した。
(結局この後エノピーに会ったのは、旅が終わってからのことだ)
もう既に午後3時。今日はまだ10キロくらいしか走っていない。
そのまま中標津で温泉に入り、開陽台へ向かう。
コンビに入ったら、秋限定ビールが既に発売開始に。
こういう些細なことにも、夏の終わりを感じてグッときてしまう。
この夜は、久しぶりに大規模な宴会となった。
地図を見たまま微動だにしない。
エノピーよ、どこへ行く。
おにぎりとビール。更けていく秋の夜。
開陽台へ向かう夕暮れの道。