■8月13日(1) 知床タッチ&Go
ヤッサンは多和平にいなかった。
本人の気が変わって、別の場所にでも行ってしまったのか。
しかたない、どしゃぶりだし、一人寂しくテントでメシでも食うか。
と思ったが、トミさんというおじさまキャンパーと
女子大生チャリダー2名と妙に盛り上がってしまい、結局大宴会に。
このトミさんという人が筋金入りのキャンパーで、40歳過ぎてるのに
バイトしながら旅をつづけてるらしい。いろんな人がいるもんだ。
ここのキャンプ場は屋根付のバルコニーがあるので、
雨の日でも大きなテーブルでゆっくりメシが食える。
レストハウスが閉店した後、キャンプ場利用者のために
バルコニーを解放してくれるのだ。愉快な雨の夜だった。
翌朝、雨があがった。
オレはヤッサンを見つけるのは諦めて、知床へ向かった。
雲は鈍い灰色。肌寒い。
中標津を通り抜け、海沿いの道に出て一気に知床まで走る。
知床の南の入り口、羅臼(らうす)で、熊の湯という無料の露天風呂に入る。
しかし熱すぎてなかなか入れない。
ここは地元の漁師が管理しているのだが、
その漁師のみなさんがとても恐い。
漁師はとにかく
「ケツを洗ってから入れ」と力説する。
ケツも洗わずに入るバカがいるから湯が汚れるんだ!
そう言って、新参者が来る度にいちいち怒鳴るのだ。
この洗礼を受けないと、露天風呂には入れない。
熱すぎて長湯不可能な温泉を出ると、ヤッサンから呼び出しが。
「おい、オマエ今どこにいるんだよ?オレ多和平に着いたからさぁ、
今から来いよ」という。
今からかよ!オレはもうフロまで入り終わって、後は飲むだけだってのに!
多和平から開陽台方面へ向かう。真っ直ぐ羅臼へ行くのではなく、少し寄り道
しながら走る。中標津近辺は、北海道の中でも最も快適なツーリングエリアの
一つ。8月でも気温はあまり上がらないので、ジャケットは冬用でちょうどよい。
多和平とはナゼか相性が悪い。ここにテントを張って晴れたためしがない。
「多和平と開陽台、どっちが好きか?」 真っ二つに別れて激論を繰り広げる
のが、北海道ライダーには定番の、しかしどうでもいい飲みネタである。
熊の湯。