■8月14日 行き止まりの湯

懐かしの地で再会の酒盛りを実現できたオレは、
そこでわりとあっさりヤッサンと別れた。
またすぐにどこかで会えるだろう。
ヤッサンは彼女と二人乗りのバイク旅行。
大型バイクが増えて、最近はこういうタンデム旅行が随分増えた。
荷物を目一杯に積み込んで、国道のT字路で、二人は西へと去っていった。
二人して随分と長い距離を一日で走るらしい。体力あるなあ。

さて、別れたはいいけれど、オレはこれからどこへ行こうか。
虹別という小さな町で、道端で地図を広げて一人作戦会議。
さあ、どこへ行こうか。
こういう瞬間って、妙に楽しいものだ。
考えたあげく、結局また羅臼へ戻ることにした。
知床がまだ未制覇のままなのだ。

羅臼まで一気に走り、そこから狭い海岸線の道を北上する。
知床半島は(現代の日本では珍しく)先端まで道が繋がっていない半島である。
太平洋側の羅臼、オホーツク側のウトロ、
どちらも道は途中で終わっており、その先には入れない。
正確に言えば入れないことはないけれど、
道らしい道はないし、熊は出るし、おおげさではなく、
生きて帰ってこれる保証の無い世界だ。

その羅臼側の行き止まりの海岸に、温泉が沸いている。セセキ温泉。
湯船は海岸にあるので、満潮になると水没してしまって入れない。
脱衣所なんて無い。適当にそのへんで脱いで入る。
温泉に入る人よりも堤防の上から眺めているギャラリーの方が多いので、
まるで見せ物である。
しかしそんなこと言ってるとこの気持ちの良い風呂は味わえない。
昔から一度入ってみたかったのだ。ようやく望みかなう。

熊の湯まで戻ってきたところで日没。
目の前のキャンプ場にテントを張ってから、すぐ近くの旅館で温泉に入った。
くたびれたので、セイコーマートで弁当を買ってキャンプ場に戻る。
夜は地元(と言っても旭川)のキャンパー達と大宴会となった。
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ベテランの旅人達に見えたら、それは全然勘違い。バイクの
後ろに乗り始めて、これが僅か5日目くらいなのだ。この余裕っ
ぷりは、度胸なのか、それともわかっていないだけなのか(笑)
ヤバイ、撮られた!
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ここが道道87号の終着点。ここから先に道は無い。
この先こそが、人を寄せ付けない知床の最深部なのだろう。
日本にもこんな場所がまだあったんだなと感心してしまう。