■7月28日(5)  釣りバカ日誌 特別編

「すーさんは、まだ釣れませんかねぇ〜。ダメですね〜」

このあたりからいつの間にか、我々は映画の「釣りバカ日誌」になりきってしまっていた。
オレがそのまんますーさんで、あんちゃんが浜ちゃんである。
 「あの〜、師匠、ダメなんですよ、どうやったら釣れるんでしょうか?」
  オレはあんちゃん・・・ではなくて浜ちゃんに聞いた。
 「いやあ、でもさ、スーさんはもともとセンスないから無理なんじゃないの?ハッハッハ!
  ま、あんまり無理しないで、適当にやってみてよ!」
そんなこと言ってるけれど、どっちみち二人とも素人なのだ。
やはりここは、自分で考えて適当に釣ってみるしかないのだ。

釣り針を垂らす深さをいろいろと変えてみたりした。それでもダメ。
次々とポイントを変えてみたりした。それでもダメ。
魚がいないのか?しかし、ほんのちょっと、1メートルくらい釣り場を移動してみたら、
ようやくアタリが来た。魚がオレの餌を引っ張っているのがわかる。
適当にえいやと持ち上げると、簡単に釣れた。今度はソイがあがった。

 「浜ちゃ〜ん、釣れましたよ、わたしウレシイです〜」
 「すーさん釣れた?おもしろいでしょう?」
それから2時間くらいは、自分でも似合わないくらい熱中して釣りをしていた。
ヒルメシ食うのも忘れていた。釣り師の気持ちが少しだけわかった気がした。

しかしそれもつかの間、振り返ってあんちゃんを見たら、堤防の上で思いっきり昼寝してる。
すっかり飽きたのだ。飽きっぽいのだ。やっぱり釣りなんて我々には無理なのだ。
バケツの中のソイを、カモメが狙っている。
「そんなに食いたいならくれてやる!」
一匹放り投げると、あのトゲトゲのサカナを丸呑みしてしまった。
カモメって恐ろしい生き物・・・

いつの間にか、二人して堤防の上で寝てしまっていた。
釣りってキャラでもない我々である。
おそらくこれが、最初で最後の経験だろう。
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(左) 魚を手に、無意味にポーズ。
(右) 釣れ過ぎです。
ようやくオレも釣れました。
あんちゃんが撮った、珍しくオレお気に入りのショット。