■7月27日(5)  島の人々と過ごす

車を降りると、家の真ん前にバーベキューの準備が整っていて、
自転車屋のおじちゃんとおばちゃん、そして旭川のおじさんとその奥さん、そして息子が座っていた。

 「こんばんわー。すみません、今日はお世話になります」
二人して挨拶をした。
 「なーんもいいって。それより早く座って食べなさい。ビールもたくさんあるし、
 焼酎も日本酒もあるから、好きなものを飲んでいいんだよ。どんどん飲んでね」

家の前イコール道路端なので、そこらじゅうの人に丸見え状態である。
はす向かいの家からも、おじさんが一升瓶を持ってやってきて、さっさと肉を焼き始めている。
この人もどうやら招待されているらしいが、なにしろ何も言わずにさっさと座ってしまうのである。

この日はエゾ鹿の肉をごちそうになった。誰かが撃ってきたものらしい。
鹿肉は意外にも実にうまかった。想像以上に柔らかくて、臭みもない。
それから北海道では定番のジンギスカン(つまり羊)と野菜。
それから大量の海の幸。ツブ貝・ホタテ・ウニ・ホッケなど。

それにしてもこっちの人々、いつまでたっても半袖のままである。
風が少し強いので、我々はフリースを着て、それでも寒いのでバイクのジャケットを羽織ったところなのに、
この人たちは寒くないんだろうか?
更にその後、日が暮れて相当寒くなってきたなと感じた時、
 「少し冷えてきたね、上着でも着ようか?」
と、ようやくそんな会話が出てきたくらいだ。
北海道の人はみんなそうだが、寒さにとてつもなく強い皮膚をしているのだ。

食べている途中で、あんちゃんと交代で家のフロに入れさせてもらった。
天売にはフロ屋がないので、旅行者がフロに入れなくて困っているということを、
この人達は十分わかってくれているのだ。ありがたいではないか。
というわけで、島では人の家のフロばかり入っている。なんとも不思議な気分だ。

夜になり、冷えてきたので、場所を家の中に移動して、引き続きリビングで飲んだ。
こういう時、あんちゃんのエンターテイメント魂に火が灯る。
人を笑わせずにはいられないのだ。一生懸命面白い話をして、みんなを笑わせている。
そうやって人を楽しませることが、あんちゃん流の感謝の表し方でもあるのだ。
おじさんもおばさんも、みんな大喜びであった。
それにしても、この光景は、映画の虎さんで見たような気がしてならない。
そういえばあんちゃんは虎さんが大好きだ。
きっとそういう映画のワンシーンを思い浮かべながら、みんなを笑わせているんじゃないかなぁ。
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さあ、これから宴会やりますよ〜。
森脇のおじちゃんに、鹿肉とホタテを焼いてもらってます。