■7月24日(6)  我 野営場を占拠せり

キャンプ場に戻ってきた。まだ日が高い。
今日は綺麗な夕日が見られそうだ。
さぁ、初日の夜を、早速ビールでカンパイである。

「あんちゃん北海道上陸おめでとー!そして夏休みにカンパイなのだ!」

パキッ!とビールを開けて飲み干す。至福の瞬間だ。
まだ日も高い。今日は完全なる晴天である。
そしてキャンプ場には我々以外誰も居ない。
そうなのだ、今日は我々以外に誰も利用者が居ないのだ。
この豪快な夕焼けを、二人して独占状態なのだ。

「うまい!ビールうまいよすーさん!オレは幸せです!ステキです!」
あんちゃんは実に嬉しそうな顔で笑った。
ここ数年仕事ばかりしているあんちゃんなのである。今回の休みを取るのも一苦労だったのだ。

うーん、思えばオレとあんちゃんの立場も、出会った当初とはすっかり逆転してしまったではないか、
とオレは考えていた。
つまり、97年に出会った時、オレは会社の短い夏休みを利用して北海道をツーリングをしており、
かたやその当時のあんちゃんは、無期限で日本一周をしている最中であり、
オレはそれを見て、心底悔しく羨ましく思ったのだった。
しかし今や、オレは無職、あんちゃんは仕事にはまって抜け出すのに一苦労、なのである。
お互いの境遇の変化というのが、なんとも不思議で、そしてなんだか おかしかったのだ。

ビールでカンパイの後は、チーム文句のテーマ曲をかけるのが恒例。
テーマ曲は何故か“松崎しげる”なのである。
不思議と思われるかもしれないが、しかしこの曲無しに我々の夜ははじまらないのだ。

ビールの爽やかな酔いが心地良い。空気はカラリとしている。
7月の日本海側は好天に恵まれ、乾燥しきっていた。
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