■7月9日 仙台まで
長旅に備えてバイク屋でオイルを補充した。
オレのバイクも走行距離5万キロを超えてからは、オイルの消費量が少しずつ増えてきている。
この旅が終わったらオーバーホールが必要かもしれない。

浦和から暑い東北道を走って仙台へ向かった。
しかし天気がぱっとしない。旅の始まりという気分がなかなか盛り上がってこない。
どうしようかな、途中で雨が降ってきたら、引き返してあんちゃんの家でもう一泊してしまおうかな、などと煮え切らない。
しかし明日以降も本州は雨がつづくという予報だ。やはり仙台まで行こうと決意した。

少年といっても既に23歳。
初めて礼文島で出会った時は17歳だったので文字通り少年だったのだが、ニックネームというのはそう簡単に変えられないのである。
現在少年は美術館でアルバイトをしており、秋からは2度目のアメリカ留学を控えている。だから結構忙しい。
仙台に着いた夜は美術館イベントの仕込みがあるとかで、夜中まで作業をしていた。

オレは少年の家で一人酒を飲み、先に寝かせてもらうことにした。
こんな雨の日には、人の家のありがたさを切実に感じてしまう。

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少年の家の窓からは、北仙台の街が見下ろせる。
ほんの少しの高台。ほんの少しの夜景。でも、これがホッとするのだ。
ギシギシいう階段をよいしょと上ると廊下があって、そこの窓からこの夜景が見える。
家のすぐ下に線路があって、仙山線の短い編成の車両がコトコト通り過ぎる。
夜に少年の家に着くと、本当に心からホッとするのである。

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