■7月14日(1)  奥尻上陸

朝一番のフェリーにぎりぎりで飛び乗って、オレは奥尻へ向かった。
島へ向かう時は、いつもわくわくする。奥尻島とは一体どんなところだろうか?
2時間ほどで奥尻港に到着した。

ここは日差しが強い場所だ。何もかもがぎらぎら輝いている。
日差しと同じく、風も猛烈に強い。
東海岸にある港をスタートして、時計とは反対周りで進み始める。

島の最北端の稲穂岬というところに「賽の河原」という場所がある。
ここは道南五大霊場のひとつで、海難犠牲者や幼くして亡くなった子供を供養するため、海岸は見渡す限りに大小の石が積まれている。
もの凄い強風の中、海岸に積まれた石の間には、たくさんの小さな花がぶるぶると風に揺れていた。

この賽の河原の真ん前にキャンプ場がある。芝生もトイレも綺麗に整備された実に美しいキャンプ場なのだが、
何しろ賽の河原の真横なのである。
そしてキャンプをしている人など誰もいなくて、更にこの強い風である。とてもじゃないが、オレは一人でここに泊まる勇気は無い。
そこであんちゃんにメールで相談してみることにした。
「あんちゃん、奥尻島でおすすめのキャンプってどこ?」
すると、いつもはすごく返事が遅いくせに、こんな時に限って5分で返事が来た。
「おすすめは、賽の河原キャンプ場です!」
しまった!この男のアドバイスは使えない!
そういえばあんちゃんは、山の中でひとりぼっちでも平気で眠れるタイプなのだ。オレにはとてもそんな度胸ないよ!
この島は人影も少なく、車も殆どすれ違わないので、港を離れてからずっと寂しい雰囲気なのだ。
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(左) フェリーの港を出て、半時計回りに島を
    周りはじめる。日差しが強烈で、空と海
    の色がものすごく濃い。
(右) 賽の河原にある売店。奥にある白い建物
    がキャンプ場。人が全然居ない。
下船直後に、バイクがぶっ壊れて困っているおじさんに遭遇した。
バイクの下部からラジエーター液が漏れ出して、フェリーターミナルの
アスファルトはびっちょりと濡れてしまっている。
しかし他人事ではない。オレの旅だって、完全にバイクに頼り切りなのだ。
もしもバイクが故障したら、オレの旅は何もかもおしまいなのだ。
こういう時は助け合わなくては。どうせ急がない旅だし、とことんつき合って
あげよう。というわけで、札幌のバイク屋に電話をかけたりして過ごす。
バイクは応急処置が施され、なんとかエンジンのかかる状態に戻った。