■プロローグ 2003年初夏

どういう行き掛かりか6月いっぱいで会社を辞めることになった。

もしも会社を辞めるのならば、夏が来る前がいい。そしてそのまま旅に出てしまうのがいい。
そんなことを、ずっと以前から考えていた気がする。
しかし現実にそういうタイミングで辞めるというのは非常に難しいことである。ことではあるが、
オレは実際に辞められたのだ。なんて運が良いのだ。

先の予定は全く無い。どうやって食っていこうかという不安は残るが、こんな機会は一生に一度きりだろうと思うと、痛快でもある。

会社を辞めて暫くは仕事の引き継ぎなどもあり、かなりどたばたした。
そしてそんなどたばたに追い打ちをかけるように、オレは引っ越しを行ったので、6月が終わってもなかなか出かけられなかった。

2003年7月の東京は雨ばかりですっきりしない。どうやら今年は長梅雨になりそうだ。
だけどそんな中、北海道だけはずっと好天がつづいていた。早く出掛けなくてはと焦りはじめた7月8日の夜が出発の日となった。
見送りのためにわざわざ新宿まで来てくれた友人が、長期の旅行でデジタルカメラの画像を大量に保存できるようにと、
小さなハードディスクを新宿のヨドバシカメラでプレゼントしてくれた。
これがあれば、1万枚くらいは写真が撮れることになる。なんとも嬉しいプレゼントだ。
しかし不思議にも、長期の旅行なのにその他の装備はいつものツーリングと大差無かった。これは自分でも意外であった。

友人と西新宿のドトールコーヒーで東京の名残を惜しんだ後、小雨の降る夜の街を抜け、オレは北へと出発した。
・・・とか言いながら、実はあっという間にさいたま市でストップ。初日の宿泊先は、オレの友人、通称“あんちゃん”の家である。

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出発の日は、しょぼしょぼ雨が降っていました。
2003年の東京はとにかく天気が悪く、いつになっても
旅の気分が盛り上がってきませんでした。
本当にこんな状況で北海道を楽しめるのかな〜、
と半信半疑のまま、オレは出発しました。
当時住んでいた横浜の友人邸前にて。旅のはじまりでした。
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