■雨の国道
オレのバイクも随分と長い距離を走ってしまったものだ。中古車だった
ので、買った時には既に2万キロくらい走っていた。現在の走行距離は
既に4万5千キロ。長いこと走ったバイクはバルブの気密が落ちてきて、
オイルの減りが顕著になってくる。東京からここまで既に750キロ走っ
ているので、オイルが随分と減ってしまった。函館の町外れでガソリンを
入れるついでにオイルもつぎ足しておいた。
これで安心して北海道を走れる。

既に午後1時。北を目指してスタート。ようやくツーリングの再開だ。
街を抜けたあたりで一瞬雨があがったが、それもほんの一瞬であり、
その後はずっと雨。小沼という名の湖を通り過ぎ、森町から八雲町、
そして長万部(おしゃまんべ)へつづく渡島半島の海沿いを2台でひた
すらに走った。長万部までは60キロ以上ある。
雨は徐々に激しさを増し、途中雨宿りする場所もなく、とにかくひたすら
に我慢の走りだった。上からは雨、横からは海のしぶき。雨だかしぶき
だかわからないが、とにかく二人してずぶぬれだった。
セブブンイレブンに止まってタバコを吸おうにも、小さな軒先では雨を凌
ぎきれず、タバコもべちょべちょに塗れる。とにかく走るしかないようだ。

 「途中で産地直売の店をみつけておいしいトウキビでも食べよう」なん
て望みは完全に幻想であった。そんな場所に停まっている余裕なんて
全然無かった。休みたくても濡れない場所がない。
それでも腹は減るし、寒いし冷たいし、もういい加減休憩したい。
そんなわけで、海沿いのあまり入りたくない雰囲気のラーメン屋に選択
の余地なしでピットインした。

もはやこうなると笑顔さえ出てこない。くたびれた。寒いと余計に体力を
奪われる。あいにくと店は超満員。混んでいるのはおいしくて有名な店だ
からではなく、店の数が少ないから客が自然と集中してしまうだけの話で
ある。そして店の雰囲気通りに、ラーメンの味もさっぱりだった。そして店
員の愛想も抜群に悪い。更に隣の席の子供が癇に障る声で延々と泣き
続けている。それなのに親はちっとも注意しようともしない。ガマンできず
に親に一言文句を言おうとした寸前で、その家族は会計を済ませて出て
行ってくれた。
休憩のはずなのに気分が安らぐどころかストレスがたまる一方なのだ。
あー、辛い!

外へ出たら、相変わらずざぁざぁ降り。これは参った。今日は一体どこま
で走れるんだろうか?それどころか、泊まる場所を確保することさえ大い
に不安なのである。なんたるツーリングだ! 

ラーメン屋を出てからも、ただひたすらに走った。北海道の道南地方は
目立った見所も無く、つまらない道が海沿いを延々と走っている。見所
以前にそもそも雨で景色なんて見えないのだ。それでも道央方面に少し
でも近づいておきたくて、日のあるうちになんとか距離を稼ぐため、我々
はただひたすらに走った。
今日の終着地点は倶知安(くっちゃん)に決めてみた。日没時間と体力
の限界から今日走れる距離を逆算しただけの、目的の無い目的地である。



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2002 北海道ツーリング  -5-
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大阪府
今回は白地図をつけてみた。北海道の地図は
距離感がわかりにくいので、同縮尺の東京都、
及び大阪府の地図を並べてみた。これを見ると
如何に広いかがよくわかる。上の国後島は、ほ
ぼ東京都に匹敵する大きさである。
東京都
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